厄年が近づいてくると、ふとした疑問が頭をよぎりませんか。
「そういえば、今年って厄年じゃなかったっけ?」
——そこまではわかる。
でも次の瞬間、もうひとつの疑問が湧いてくる。
男性と女性で厄年の年齢が違う。
じゃあFTMの自分は、どっちの年齢を基準にすればいいの?
ネットで調べてみてもすっきりした答えが見つからない。
神社やお寺に問い合わせるのも、なんとなく気が引ける。
「電話で聞く勇気がない」「メールで性同一性障害のことを説明するのは難しい」
……そんな気持ちを抱えながら、答えを出せないまま厄年が過ぎていく人もいるかもしれません。
この記事では、実際にお寺にメールで問い合わせた回答と、ネット上のさまざまな意見をまとめてお伝えします。
FTMが厄年のお祓いで悩むのは当然のこと
厄年とは、特定の年齢に厄災が降りかかりやすいとされる年のことです。
科学的な根拠はないものの、平安時代ごろから続く日本の風習として、1000年以上にわたって人々の間で大切にされてきました。
「信仰するほどではないけど、疎かにはしたくない」という感覚を持つ人も多いのではないでしょうか。
厄年の年齢は男性と女性で異なります。
男性の大厄は42歳、女性の大厄は33歳とされており、前厄・本厄・後厄の3年間をセットで考えることが一般的です。
FTMにとってこの問題が悩ましいのは、「どちらの基準で数えるべきか」という答えが、どこにも明確に書かれていないからです。
神様・仏様に関わることだからこそ、「なんとなくこうだろう」と自分で判断するより、ちゃんと確かめたいと思う人も多いはずです。
FTMの厄年お祓い|男性・女性の年齢早見表
まず、男性と女性それぞれの厄年(数え年)を確認しておきましょう。
男性の厄年(数え年)
- 前厄:24歳・41歳・60歳
- 本厄:25歳・42歳(大厄)・61歳
- 後厄:26歳・43歳・62歳
女性の厄年(数え年)
- 前厄:18歳・32歳・36歳
- 本厄:19歳・33歳(大厄)・37歳
- 後厄:20歳・34歳・38歳
「数え年」とは、生まれた年を1歳として数える方法で、現在の満年齢に1を加えた数が目安になります。
地域や神社・お寺によっては満年齢で数えることもあるため、訪問先に確認するのが確実です。
ちなみに、男女両方の厄年を合算すると本厄だけで7回。
前厄・後厄も合わせると18回のお祓いが必要になる計算です。
「両方数える」という選択をした場合の覚悟がわかりますよね(笑)。
実際にお寺に直接問い合わせてみた
「こういった神様仏様的なことは、ネットで調べるよりもちゃんと専門の方に聞いた方がいい」
——そう思って、実際にお寺にメールで問い合わせてみました。
電話で問い合わせる勇気はなかったので、HPにメール問い合わせフォームがある施設を探して連絡しました。
問い合わせた内容はシンプルに、「性同一性障害(FTM)の場合、厄年のお祓いは男性・女性どちらの年齢を基準にすればよいでしょうか」というものです。
お寺から返ってきた回答
返信いただいた回答は、次のようなものでした。
——
「お問い合わせの件ですが、現在ご自身が自覚されている性別で行っていただければ結構かと存じます。」
——
シンプルで、温かい言葉でした。
「ごもっとも」とは思いながらも、ずっと自分の中だけにあった考えが、専門の方の言葉として確認できた安心感がありました。
自分の中での判断が「それでいい」と認められた感覚、とでも言えばよいでしょうか。
もちろん、全国の神社・お寺によって見解が異なる可能性はあります。
ですが少なくとも、「自覚している性別で」という考え方は、宗教的な観点からも受け入れられるものだとわかりました。
問い合わせる前は「変な質問だと思われないかな」「うまく説明できるかな」という不安がありましたが、丁寧に回答していただけて本当によかったと思っています。
迷っている方は、ぜひ訪問予定の神社やお寺に直接確認してみてください。
ネット上ではどんな意見があるの?
同じ疑問を持ったFTM当事者やトランスジェンダーの方たちが、ネット上でもさまざまな意見を交わしています。
明確な「正解」は存在しないため、いくつかの考え方が混在しているのが現状です。
「自覚している性別(性自認)で数える」
お寺の回答とも一致する、最もシンプルな考え方です。
自分が男性として生きているのであれば、男性の厄年年齢を基準にする。
性自認に沿って生きることと一致しており、精神的な納得感という意味でもこの考え方を選ぶ人が多い印象です。
「身体性と性自認で基準を分ける」
「身体に関する厄は身体の性別基準で、精神や社会生活に関する厄は性自認の性別基準で考える」という意見もあります。
ホルモン治療や手術など身体の変化が多い時期は身体性基準で、日常生活や社会的な場面では性自認基準で、という発想です。
少し複雑に感じるかもしれませんが、「どちらも大切にしたい」という気持ちからくる考え方として、ひとつの視点として興味深いと思います。
「両方の年齢でお祓いする」
「厄年は男の歳も女の歳も、どっちもだと思ってる」という考え方もあります。
トランスジェンダーならではの視点として「両方の厄年でお祓いに行く」という選択をする人もいます。
先述の通り、両方を合算すると本厄だけで7回、前厄・後厄込みで18回になります。
「それだけ丁寧に向き合う」という考え方として受け止めることもできますが、現実的には大変だと感じる方も多いかもしれません。
FTM当事者として、どの基準を選ぶか
実のところ、「正解はひとつ」ではありません。
お寺や神社の見解、自分の価値観、治療の状況
——それぞれによって、自分に合った選択は変わってくると思います。
僕自身の話をすると、初めての厄年は性同一性障害を知る前だったので、そのときは「女性」の年齢でお祓いに行きました。
まったく記憶にないくらいですが(笑)
本厄は確実に行っています。
その後、自分がFTMであると自覚してからは、男性の厄年を基準に考えるようにしました。
次の厄年は42歳だったので、18〜20歳のときにお祓いをしてからずいぶん長い空白期間ができてしまいまいたが「男性」として厄払いを行いました。
大切なのは「どっちが正しいか」を証明することではなく、「自分の中で納得できる形で向き合えているか」だと思います。
神様仏様に対して、疎かにせず丁寧に接する気持ちがあれば、その形は人それぞれでいいのではないでしょうか。
よくある質問(Q&A)
Q. FTMはどちらの性別の厄年年齢を基準にすればいいですか?
A. 実際にお寺に問い合わせた回答では「現在ご自身が自覚されている性別で行っていただければ結構」とのことでした。
性自認が男性であれば男性の厄年を基準にする、というのが一つの答えです。
ただし神社・お寺によって見解が異なる場合もあるため、訪問予定の施設に事前に確認するのが最も確実です。
Q. 戸籍変更前と変更後で、基準を変えるべきですか?
A. 明確なルールはありません。
「戸籍上の性別で考える」という意見もあれば、「性自認で考える」という意見もあります。
戸籍変更が完了している場合はその性別で問題ありませんが、変更前であっても自覚している性別を基準にすることは、多くの神社・お寺で受け入れられています。
Q. ホルモン治療中・手術前の場合はどうすればいいですか?
A. 治療の段階に関わらず、「現在の性自認」を軸に考えるのが自然です。
「自分は男性として生きている」という自覚があれば、治療の進捗にかかわらず男性の厄年年齢を基準にして問題ありません。
迷う場合は問い合わせ時に「治療中であること」を添えて相談してみるのも一つの方法です。
Q. 厄年のお祓いは必ず行かないといけませんか?
A. 義務ではありません。
厄年は科学的根拠のある概念ではなく、あくまで風習・文化です。「気になるから行く」「気持ちの区切りとして行く」という理由で訪れる方も多く、「行かなければ必ず悪いことが起きる」というわけではありません。
自分が納得できる形で向き合えれば、それで十分です。
Q. 神社やお寺に問い合わせるとき、どのように説明すればいいですか?
A. 「性同一性障害(FTM)のため、男性・女性どちらの厄年年齢を基準にすればよいか教えていただけますか」というシンプルな伝え方で問題ありません。
電話が難しい場合はメールフォームから問い合わせる方法も有効です。
丁寧に対応してくれる施設がほとんどですので、迷わず問い合わせてみてください。
まとめ|FTMの厄年お祓いは「自分が自覚している性別」で
FTMの厄年お祓いについて、ポイントをまとめます。
- お寺への問い合わせ回答:「現在ご自身が自覚されている性別で行っていただければ結構」
- ネット上の主な意見:性自認基準・身体性基準・両方の3パターン
- 男性の大厄は42歳、女性の大厄は33歳(数え年)
- 両方合算すると本厄7回・前後厄込みで18回になる
- 正解はひとつではなく、自分が納得できる形で向き合うことが大切
厄年のお祓いという、FTMとして少し複雑に感じるテーマでも、「自分が自覚している性別で」という答えが、専門の方からも肯定されています。
迷ったときは訪問先の神社・お寺に事前に確認してみることが一番です。
あなたが納得できる形で、厄年と向き合えますように。
