「献血したいけど、ホルモン注射をしている自分は対象外なのかな」
——そう思って献血車の前を通り過ぎたことはありませんか?
僕も以前、病院の前に止まっていた献血車を見て「自分はホルモン注射を打っているから無理だろう」と足を止めたことがありました。
でも実際に日本赤十字社へ問い合わせてみると、状況によっては献血が可能であることがわかりました。
この記事では、FTMが献血を検討する際に知っておくべき2026年現在の条件・ルール・注意点を、日本赤十字社への質問回答と公式情報をもとにまとめます。
2026年版|献血の基本条件(日本赤十字社の基準)
まずFTMに限らず、日本で献血をするための一般的な条件を整理しておきます。
全血献血(200ml・400ml)の主な基準
| 項目 | 男性基準 | 女性基準 |
|---|---|---|
| 年齢 | 16〜69歳 | 16〜69歳 |
| 体重 | 45kg以上 | 40kg以上 |
| ヘモグロビン(200ml) | 12.5g/dL以上 | 12.0g/dL以上 |
| ヘモグロビン(400ml) | 13.0g/dL以上 | 12.5g/dL以上 |
| 血圧(収縮期) | 90〜179mmHg | |
| 体温 | 37.4℃以下 | |
この基準は戸籍上の性別をもとに判断されます。
献血できない主な条件(薬・治療関連)
薬を服用・使用している場合は、種類によって献血ができない期間が設けられています。
ホルモン剤(注射・内服)もこれに該当します。
FTMがホルモン注射中に献血できない理由
以前、日本赤十字社へ直接メールで質問した際に以下の回答をいただきました。
お問い合わせいただいた件につきまして、日本赤十字社では輸血を受けられる方だけでなく献血をされる方も含め双方のご健康と安全をお守りするため採血に関してさまざまな基準を設けており、お薬の服用(使用)に関しましては、目的となる疾患及びその治療状況等も踏まえ採血現場の検診医師が最終的な献血の可否を判断しております。
性同一性障害に関しましては、お薬を使用されていない場合献血にご協力いただくことが可能ですがお薬(内服薬や注射薬)を使用されている場合は投薬が終了してから1か月間は献血をご遠慮いただくこととしております。(投薬の量にかかわらず、一律の基準としております。)
日本赤十字社 血液事業本部 広報担当
回答のポイントをまとめると
- ホルモン注射・内服薬を使用している間は献血不可
- 投薬終了から1ヶ月間は献血不可
- 投薬量の多少に関わらず一律この基準が適用される
- 薬を使用していないFTMは献血可能(他の条件を満たす場合)
つまり、ホルモン注射を継続しているFTMは現在のところ献血ができません。
「量が少なければいい」「たまにしか打っていないから」という例外はありません。
FTMの献血条件|戸籍の性別との関係
体重・ヘモグロビン値などの基準は、現状では戸籍上の性別をもとに判断していると日本赤十字社は回答しています。
戸籍が女性のFTMの場合
戸籍がまだ女性のFTMは、献血時の基準も「女性」として扱われます。
ヘモグロビンの基準値が男性より低く設定されているため、テストステロン投与によって赤血球が増加していれば基準を満たしやすい面もあります。
ただし投薬中は献血不可です。
戸籍が男性のFTMの場合
戸籍を男性に変更したFTMは、献血時の基準も「男性」として扱われます。
体重45kg以上・ヘモグロビン基準がやや高くなります。
ホルモン注射を継続している場合は、やはり献血はできません。
内摘後・ホルモン注射を止めた場合は献血できる?
内摘(子宮・卵巣摘出)をしてホルモン注射を止めた場合はどうなるのでしょうか。
「投薬終了から1ヶ月」という基準に照らすと、ホルモン注射を完全に止めて1ヶ月が経過すれば、他の条件を満たす限り献血できる可能性があります。
ただし、内摘後もホルモン注射を継続しているケースは引き続き献血はできません。
「内摘したから」という理由だけで条件は変わらず、あくまでも「現在投薬中かどうか」が判断基準です。
献血に行くときの問診対応
献血できる条件を満たしている場合、問診でどう対応するかが気になる方もいると思います。
問診票には性的接触に関する項目もありますが、性別の申告を求められるわけではありません。
ただしホルモン剤を使用しているかどうかは正直に答える必要があります。
輸血を受ける患者の安全に直結するためです。
献血できない間の血液検査はどうする?
献血の副産物として「血液検査結果がもらえる」ことに注目していた方もいるかもしれません。
ホルモン注射中で献血できない場合でも、郵送型の血液検査キットを使えば自宅で採血してヘモグロビン値・肝機能・脂質などを確認できます。
ホルモン療法中のFTMにとって定期的な血液検査は健康管理の基本です。
病院通いが難しい方や、次回通院まで時間がある方はあわせて検討してみてください。
よくある質問
ホルモン注射を1ヶ月止めれば献血できますか?
日本赤十字社の回答では「投薬終了から1ヶ月間は献血不可」とされています。
最後の注射から1ヶ月が経過していれば、他の条件を満たす限り献血できる可能性があります。
ただし最終的な判断は採血現場の検診医師が行います。
成分献血(血小板・血漿)もできませんか?
成分献血についても、ホルモン剤使用中は同じ基準が適用されます。
「血小板や血漿なら大丈夫」という例外はないと考えてください。
FTMであることを献血センターに申告する必要がありますか?
性別の申告を求められるわけではありませんが、ホルモン剤を使用しているかどうかは問診で確認されます。
使用している場合は正直に答えてください。
2026年に献血の基準は変更されましたか?
2026年4月時点でホルモン剤使用者への基準に大きな変更は確認していません。
ただし基準は変更される可能性があるため、献血前に日本赤十字社の公式サイトで最新情報をご確認ください。
まとめ|FTMと献血の条件
- ホルモン注射・内服薬を使用中のFTMは献血できない
- 投薬終了後1ヶ月間も献血不可(量に関わらず一律)
- 体重・ヘモグロビン値などの基準は戸籍上の性別で判断
- 内摘後もホルモン注射を継続中なら献血は不可
- 献血の基準は変更される可能性があるため、事前に日本赤十字社で確認を
「社会に貢献したい」という気持ちは本物だと思います。
今すぐ献血はできなくても、定期的な血液検査で自分の体を把握することも立派な健康管理です。
ホルモン療法を続けながら、自分の体を大切にしてください。
「社会の役に立ちたい」という気持ちは、FTMであっても変わりません。
今は条件が合わなくても、その気持ちを大切にしてほしいと思います。
ホルモン注射を続けながら健康を管理し、状況が変わったときにまた考えてみてください。
