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【FTM】内摘後の陰茎形成手術を「しない」選択。後悔しないためのリスクと費用のリアル

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性別適合手術(SRS)において内性器摘出(内摘)を終えて戸籍変更を済ませることは、一つの大きな区切りとなります。
しかし、その先に待つ「ステージ3」とも呼ばれる陰茎形成手術に進むかどうかは、多くのFTM当事者が直面する最も重い悩みの一つです。

「男性として完全な体になりたい」という願いと現実に突きつけられるリスクの間で揺れ動くのは、決してあなただけではありません。

今回は、あえて「手術をしない」という選択に焦点を当て、その背景にある現実的な理由と現代における最新の選択肢について詳しく解説します。

目次

なぜ内摘(子宮卵巣摘出)で手術をストップするFTMが多いのか?

FTMの治療プロセスにおいて、ホルモン療法から始まり乳房切除・そして内摘を経て戸籍変更を行う流れは、法律上の「男性」としての権利を得るための最短ルートです。

現在、特例法の運用が変わりつつありますが、それでも多くの当事者が内摘を一つのゴールとして設定しています。
その最大の理由は、内摘を終えれば法的・社会的な「埋没」が可能になるからです。

一方で、陰茎形成は「見た目」や「排尿機能」を改善するための手術であり法的な義務ではありません。
そのため、ここで一度立ち止まり「本当に自分にこの手術が必要なのか」と自問自答する時間が必要になります。

手術には膨大なエネルギーが必要であり、そのハードルはこれまでの治療とは比較にならないほど高いのが現実です。

陰茎形成に踏み切れない3つの大きな壁

多くの当事者が手術を「渋る」理由には、共通した3つの大きな壁が存在します。
これらは単なる恐怖心ではなく、これからの人生を左右する極めて現実的な懸念事項です。

1. 費用と休暇の壁

2017年当時と比較して、現在の陰茎形成手術を取り巻く経済状況はさらに厳しさを増しています。

特に海外(タイなど)での手術を検討する場合、急激な円安と現地の物価上昇により総額で300万円〜500万円以上の費用を見込む必要があります。

また、日本国内での手術も保険適用の道が開かれたとはいえホルモン療法との併用(混合診療)が認められないなど制約が多く、実際には多額の自己負担が発生するケースがほとんどです。

さらに、手術後のダウンタイムも無視できません。
術式にもよりますが最低でも1ヶ月以上の長期休暇が必要となり、退院後も数ヶ月は激しい運動や重労働が制限されます。

人によっては、この「空白の期間」をどう確保するかは高い壁となります。

2. 身体に残る「巨大な傷跡」

陰茎形成手術の最大の特徴は、自分の身体の一部(前腕や大腿部)から皮膚や組織を移植する「皮弁」という手法をとる点です。
これにより、提供側となった腕や足には、一目で「何か大きな手術をした」とわかるほどの、広範囲で生々しい傷跡が一生残ることになります。

温泉やジムなどの公共の場で腕の傷が原因で逆に周囲の目を気にしてしまう…。
この精神的な負担を考えると、「今のままでも十分ではないか」というブレーキがかかるのは当然の反応と言えるでしょう。

3. 合併症リスクと機能の限界

陰茎形成は、外科手術の中でも非常に難易度が高い「再建手術」に分類されます。
尿道の狭窄(きょうさく)や瘻孔(ろうこう:穴が開くこと)といった合併症のリスクは決して低くありません。
何度も追加手術を余儀なくされるケースもあり、心身ともに疲弊してしまう当事者も少なくありません。

また、多大なリスクを冒して形成したとしても医学的な限界から「自力で勃起する」などの自然な機能を完全に再現することは不可能です。
性行為において何を重視するか、あるいは「立って排尿できること」にどれだけの価値を見出すか。
これらの期待値とリスクを天秤にかけたとき「リスクの方が重すぎる」と判断する決断も、自分を守るための立派な選択肢です。

手術をしない選択肢としての「エピテーゼ(人工物)」の進化

手術を渋る理由が「傷跡やリスク」にあるのであれば、現代では「エピテーゼ(医療用人工物)」という選択肢が非常に現実的な代替案となっています。
2017年当時からも「匠-TAKUMI-」などのエピテーゼ専門店が注目されていましたが、現在はさらに技術が進歩しています。

最新のエピテーゼは、個人の肌の色や質感に合わせてフルオーダーメイドで制作され、見た目だけでは判別がつかないほどリアルな仕上がりになります。

装着したままの入浴や特殊な装着具を用いた性行為、さらには立ち小便が可能なタイプも存在します。
自分の体を傷つけることなく必要な時だけ「男性器」を持つことができるこの方法は、リスクを回避したい多くの当事者にとっての救いとなっています。

「完全な体」への執着を手放すという考え方

性同一性障害の治療において「全てのステージを完遂しなければならない」という強迫観念に囚われる必要はありません。
大切なのは、社会的な「男」としてどうありたいかではなく、あなた自身が「自分の体をどう愛せるか」です。

内摘を終え男性として社会に溶け込めているのであれば、それ以上の手術を行わないことは「逃げ」でも「弱さ」でもありません。

むしろ、自分の人生における優先順位(仕事、健康、お金、パートナーとの時間)を冷静に見極めた結果としての、賢明な判断です。

もし今、あなたが陰茎形成を渋っているのなら、それはあなたの心が「今の自分を認めてあげて」とサインを出しているのかもしれません。

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