性同一性障害のカウンセリング|FTMが伝えるべきこと

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治療の第一歩であるカウンセリング。
「早く診断をもらって次に進みたい」という焦りや「性同一性障害じゃないと言われたらどうしよう」という不安で頭がいっぱいになっている方も多いかもしれません。

FTMである僕自身、初めて病院を受診したときは、期待と不安が入り混じった複雑な気持ちでした。

でも今振り返って思うのは、カウンセリングは単に「治療の許可をもらう場所」ではないということです。
今回は、カウンセリングで先生が何をチェックしているのか、その本当の意味についてお話しします。

目次

FTMのカウンセリングで先生が本当にチェックしていること

精神科の先生はガイドラインに沿って診断を進めますが、それ以上に重視しているのは「このまま進んでFTMとして生きることが、あなたにとって本当に幸せか」という点です。チェックしているのは大きく3つです。

①後悔するリスクがないか

ホルモン療法や手術は、不可逆的な変化をもたらします。先生は「今の判断が将来の後悔につながらないか」を最も慎重に見極めようとしています。FTMとして治療を進めたいという気持ちの根拠が、どれほど安定していて長期的なものかを確認しています。

②性同一性障害(性別不合)以外の可能性の除外

性別違和に似た症状が、うつ病・解離性障害など別の疾患から来ている場合があります。FTMとしての診断を確実なものにするためにも、先生が他の可能性を丁寧に排除していく過程は、あなたを否定しているのではなく守るためのプロセスです。

③日常生活・社会機能への影響

現在の性別で生活することで、どの程度の苦痛があるか。仕事・学校・人間関係にどんな影響が出ているかも確認されます。FTMとして「今この性別で生きることがどれだけ辛いか」を正直に話すことが、先生の理解を深める上で非常に重要です。

FTMのカウンセリング、実際に何を話すのか

「何を聞かれるのか分からなくて不安」という声をよく聞きます。FTMとしてカウンセリングを受けた僕の経験から、実際によく話題になるテーマを整理しました。

幼少期の記憶がなくても大丈夫

「小さい頃から違和感があった」というエピソードは典型的ですが、全員に当てはまるわけではありません。FTMの中には、はっきり意識したのが思春期や社会人になってからという人も多くいます。幼少期の記憶がないことで「診断されないかも」と心配する必要はありません。僕自身も記憶はほとんどなく、それで診断は問題なく進みました。

恋愛対象と性自認は別の問題

「男性が好きだからFTMじゃないのでは」と悩む方もいますが、性自認(自分が何者か)と性的指向(誰を好きになるか)は完全に別の概念です。FTMで男性が好きな人も、女性が好きな人も、どちらも珍しくありません。先生もこの区別は十分理解していますので、正直に話して大丈夫です。

FTMがカウンセリングで自分をさらけ出すとはどういうことか

「診断が欲しい」という思いが強いと、つい自分を男らしくアピールしたり、過去のエピソードを大げさに話したくなるかもしれません。でもFTMとしてのカウンセリングでは、それが一番もったいない行為です。

嘘をついたり演じたりすることで、本来解決すべき心の葛藤を見逃してしまいます。カウンセリングは先生に認めてもらう場ではなく、先生という「鏡」を通して自分がこの先どう生きたいかを定めていく場です。FTMとして治療を進めたいなら、ありのままの自分を見せることが最速の近道です。

FTMが初めてカウンセリングに行く前に知っておくべきこと

初めての受診前に知っておくと安心できる、実用的な情報をまとめました。

診断までにかかる回数と期間

FTMの診断は通常、複数回のカウンセリングを経てから下されます。医療機関によって異なりますが、数回〜十数回のセッションが必要なケースが多いです。僕の場合は数ヶ月かかりました。「1回で診断が出ない」ことを焦る必要はなく、それは先生が丁寧に向き合っている証拠です。

費用と保険の目安

精神科・心療内科でのカウンセリングは保険診療の範囲内で受けられる場合が多く、1回あたり数千円程度が目安です。ただしGID専門外来の場合は自費診療になる医療機関もあります。FTMとして受診する前に、電話で費用や対応について確認しておくと安心です。

受診前に整理しておくと役立つこと

カウンセリングで話す内容を事前に整理しておくと、セッションをより有効に使えます。FTMとして、以下を振り返っておくと当日スムーズです。

  • 性別違和をいつ頃から感じていたか(おおよその時期でOK)
  • 日常生活でどんな場面が特に辛いか(更衣室・名前・外見など)
  • FTMとして治療を進めた場合に望む変化(ホルモン・手術・戸籍など)
  • 現在の精神的な安定度(睡眠・食欲・落ち込みの有無)

メモとして持参するのも有効です。緊張して頭が真っ白になっても、手元にあれば安心です。

まとめ

  • FTMのカウンセリングで先生が見るのは「後悔リスク・他疾患の除外・日常への影響」の3点
  • 幼少期の記憶がなくても、恋愛対象が何であっても診断に関係しない
  • 「診断のための演技」は逆効果。FTMとしてありのままを話すことが最速の近道
  • 診断は複数回のセッションを経て下されるのが一般的。1回で出なくても焦らない
  • 受診前に「いつから・どんな場面が辛いか・何を望むか」を整理しておくと有効
  • カウンセリングは「診断書をもらう場」ではなく「自分の生き方を定める場」

FTMとして初めてカウンセリングを受ける日は、緊張して当然です。でも先生はあなたを否定しようとしているのではなく、あなたが後悔しない人生を歩めるように全力で向き合ってくれています。その信頼を持って、ありのままの自分で臨んでください。

「正直に話したら診断されないかも」という不安は、多くのFTMが感じることです。でも実際には、素直に話した方が先生との対話がスムーズに進み、結果的に早く次のステップに進めることが多いです。演じることより、伝えることに集中しましょう。

性同一性障害(性別不合)の診断は、FTMとして治療を進めるための出発点です。でもカウンセリングで得られるものはそれだけではありません。自分自身をもう一度深く見つめ直す機会として、その時間を大切にしてみてください。

この記事が、FTMとしてカウンセリングに向かうあなたの背中を少し押すものになれたなら嬉しいです。

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